<解説>

1.問題の本質

この事例の問題の本質の一つは、部下指導の責任は誰にあるかという点である。

当然であるが部下を育成する責任は管理者にある。

この事例の場合、店長に指導育成の最終責任がある。

指導担当を横溝さんに指示することは適切な対応だと判断できるが、その後、指導育成について放任していることが問題である。

これでは管理者としての責任を果たしていない。

新人に限らず部下指導育成の最終責任は管理者にあり、その責任を果たすために管理者は常に指導状況の報告をさせ、もし問題や障害があればすぐに適切な策を講じる必要がある。

また、この問題のもう一つの本質は、仕事の標準化ということである。

標準化が出来ていないために、さまざまの問題を引き起こしているのである。

指導育成を効率的に推進するためには、仕事が標準化されていることが基本条件である。

2.対応策

この事例の対応策は基本的に2つの方向を検討する必要がある。

まずは、現状の問題状況をどのように解決するかという対応策である。

もう一つはこのような問題を発生させないための改善策である。

前者については、OJT担当者のリーダーシップをどのように解決するかという課題である。

現状では新人の水野さんはOJT担当者である横溝さんへの信頼が薄れている。

この状況では今後の指導育成は難しいであろう。

このような問題状況を発生させた責任は、組織の責任者である店長自身であることを明確に伝えることが必要である。

さらに、横溝さんの指導方法の問題だけでなく、組織として仕事の進め方が標準化出来ていないことが重要な問題なのである。

この点を理解・納得させ、指導担当の横溝さんと水野さんの信頼関係の修復を図ることがポイントとなる。

後者は、根本的な問題であるOJT展開方法の改善である。

指導担当の横溝さん以外も指導に当たる場合、他のメンバーを巻き込んだ指導計画が必要である。

また、指導した結果についての状況をお互いに共有しておくことも大切である。

指導状況の共有化を推進し、指導の重点や指導のやり方にズレをなくすことが大切である。

そのためには、指導内容の統一化をはかることが必要である。

指導の基本となる作業マニュアル(作業標準、作業指導票)の整備が急務である。

とくに作業手順の統一化、さらにはそれぞれの作業手順の急所(注意すべきポイント、留意点)を共有化しなければならない。