○田島課長のこんなとき

製品企画部開発課の田島課長は、今年に入って悩んでいる。

製品企画部開発課の課長となって半年を経過したのだが、これといって新しい企画案が出ていないのである。

部下には新しい企画案を出すように指示しているのだが、ほとんど出てこないのだ。

しかし、部下が仕事をしていないわけではない。

開発課のかなりのメンバーが遅くまで残業をしている。

すでに開発が完了し、量産に入っている製品のトラブルや、お客からのクレーム対応に追われているのである。

ある時、自分に対する噂を耳にしたことがある。

「開発課は開発に対する目標方針が曖昧だし、開発環境が整備できてない。

課長にリーダーシップがなくあれではうまくいかない。

といったような内容のものだった。

噂は多少気になったが、そのようなことを気にしてもしかたがないと考えていた。

ところが、ある時、課長が最も信頼している数人の部下と食事をする機会をつくった。

そのときお酒も少し入ったころ、部下から田島課長への不満が出た。

課長としては予測してなかったことであった。

この不満をなんとか解決しなければならないと考え、現状の問題を解決するためにミーティングを実施することにした。

ミーティングの中で、部下から課長への具体的な不満が出てきた。

「課長は我々が企画案を出さないと思われているようですが、出さないのでなく、出せないのです。

現状では新規企画を考える余裕がないんです。

「私は、今年に入って何件か企画案を出しましたが、いずれも課長から、何箇所か細かい修正をするように指示され、結局、最後は却下されました。

企画案を提出したほとんどのものがそのような状況でした。

もっと管理者としての仕事をしてほしい、と思います。

という内容であった。

田島課長は「出さないのでなく、出せないのだ」「もっと管理者としての仕事をしてほしい」という言葉にはショックを受けた。

自分としては管理者の仕事をしているつもりだった。

また、開発環境の整備は必要だが、課長である私に不満を言うのでなく、自分達で解決すべき課題ではないのか、田島課長はすっかり落ち込んでしまった。

この状況の問題の本質は何か、解決のためにはどのような考え方でどのような方策を実施すべきか。