〔第11講 マネジメント塾〕仕事を誰に任せるか

〔第11講 マネジメント塾〕仕事を誰に任せるか

○川原GLのこんなとき

川原GL(グループリーダー)は、製品開発と製造をつなげる生産技術の責任者である。

グループの構成メンバーは川原GLを含めて5人である。

ある時、川原GLのところへ新製品(X-5製品:X製品系列のNO5)の立ち上げ依頼の指示がきた。

予定としては2ヶ月後のスタートとして計画していたのだが、1ヶ月立ち上げが早まり、来月から着手することになった。

ところが、生産技術グループの受け入れ態勢は、ほとんど整っていなかった。

誰に担当させるかについても白紙の状態であった。

今度の仕事は難易度的には中程度のもので、このX製品系列についてこれまで立ち上げ経験がまったくないものには任せられないと思った。

また、この仕事にはこれまでの製品にはなかった電子回路に関する多少の専門知識が求められると考えた。

しかし、生産技術グループに余裕があるわけではなかった。

川原GLは部下の経験や仕事の状況を整理し、誰に担当させるかを検討することにした。

【川原GL 45歳】生産技術のグループリーダーである。

経験的にも能力的にも仕事に対しては自信があったが、自分にはマネジメントの仕事があり、他のプロジェクトにも参画していて、時間的余裕はなかった。

【佐々木主任 40歳】部下の中では最もベテランで、仕事を任せれば着実にこなせる。

川原GLが最も信頼している一人である。

仕事の範囲は広く、当然X製品系列についても立ち上げの経験はある。

したがって、能力的・経験的に問題ないが、時間的な余裕はなかった。

【吉野 32歳】生産技術グループの中では中堅で、仕事に対して大変おもしろくなってきているところらしい。

必要ならば残業もこなし、仕事に対する責任意識も高い。

吉野さんの専門は機械設計でどちらかというと電子回路については得意ではなかった。

X製品系列の立ち上げは一度経験している。

【徳島 30歳】入社8年目で、X製品系列については主担当で立ち上げたことはなかった。

しかし、サブとしての経験はあった。

徳島さんは大学時代に電子工学を専攻していたため、電子技術の基礎はあったが、実務経験はやや乏しかった。

仕事の状況としては現在担当しているプロジェクトが完了しつつあった。

【船田 27歳】入社5年目で、生産技術グループでは最も年齢は若かった。

大変意欲的でマイコンや電子技術についての知識は生産技術グループの中でも高かった。

また、X-5の立ち上げについて是非ともやってみたいという希望があると間接的に聞いていた。

現在の仕事としては主担当はなく、サブ的に複数のプロジェクトの支援をしている。

ただ、X製品系列の立ち上げ経験はほとんどなかった。

川原GLこのような状況の中で、X-5製品の担当を誰に任せるか悩んでいた。

仕事の分担をする考え方と分担案(その理由)について考えてみよう。

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