<解説>

1.問題の本質

この事例の問題の本質は「計画を作成するとはどのようなことか」が分かっていないということだろう。

この事例の情報からは判断できないが、泉さんはこのプロジェクトの活動計画を自分の力で作成していないように思われる。

先輩の例、または何かの教科書を参考にして、あまり深く考えず作成しているようだ。

これでは実行段階で問題が発生しても不思議ではない。

計画を作成するとは計画書を作成することではない。

計画書は計画内容を書面に表すという意味で価値あることであるが、計画を作成する本質ではない。

計画を作成するとは仕事の目標達成するために、計画に参画するメンバーが何を、いつまでに、どのように活動すればよいかを具体的に決定することである。

そして、プロジェクト参画メンバーが自分は、いつ、何をすればよいかを明確に認識することができ、相互の連携などが深まり仕事の効率が向上する。

さらに重要なことは、決定したことを実践した場合に発生する可能性のある問題や障害や予測し、事前に手を打つことである。

つまり、目標達成のための見通しづけの機能が計画作成にあるのだ。

この事例の泉さんには、計画のもつ見通しづけの観点が抜けている。

また、その点を上司である広瀬課長は指導できていない。

管理者はこのような計画を作成する場面を有効につかまえて指導できなければならない。

2.対応策

対応策は、幾つかの場面で何をすべきだったかを解説してみよう。

<指示を出す場面>

この事例では詳細は分からないが、指示を出す場面で重要なことは、プロジェクトの目的・目標の確認である。

計画を作成するねらいは目的・目標の達成である。

そのためには何のためのプロジェクトであるかを十分に突っ込んで確認しておくことが重要である。

<計画が提出された場面>

計画が出された場面で幾つかの型どおりの質問をしている。

ここの対応が間違っている。

ここでは計画の内容についてどの程度見通しづけができているかを、さまざまな角度から質問し、確認しなければならない場面である。

泉さんの説明が自分の言葉でないように感じられたところが、重要なポイントである。

ここをつかまえて、計画が自分の考えで十分に練られたものであるか否かを確認しなければならなかったのである。

<報告の場面>

報告の場面は単に経過報告で終わってしまっていた。

ここでは、今後どのように展開するかのイメージをチェックしなければならないところである。

この段階では、プロジェクトは失敗しない方向に修正可能なタイミングである。