<解説>

1.問題の本質

この事例の問題の本質はプロジェクトの事前準備にある。

このチームの参加者はプロジェクトの第一会合に参加したときに、何のために自分達が集められたのか、ということをほとんど理解していなかったようである。

これではプロジェクトメンバーからの協力を得ることは困難であろう。

上原チームリーダーは、チームメンバーの上司である部長達にこのプロジェクトの主旨や目的を説明し理解を得たと感じたことで安心していた。

当然、上原チームリーダーは、メンバー選定等において上司から部下に対してプロジェクトの主旨や目的等が十分に伝えられ、納得したうえで参画するものと考えていた。

しかし、実際にはプロジェクトの概要等の話しはあったにせよ、納得するまでの十分な話し合いがなく、指示命令で強制的に参画されられているという状況であった。

一般的にも、このようなことはしばしば発生するものである。

こちらの意図するところが十分に伝わらず、依頼等に対して協力する姿勢が示されないのである。

このような状況は何らかの協力を、上司を通じて依頼する場合に起りうる可能性が高いのである。

上記のことをよく認識した依頼方法ということが大切になる。

2.対応策

ここでの対応策を2つの観点から解説しよう。

一つは、このプロジェクトを軌道に乗せるために、今、何をすべきかという点である。

もう一つは、このような反発を招くことなく、協力を引き出すためにはどのようなアプローチが必要だったかを考えてみよう。

前者は、このプロジェクトを軌道に乗せるためにやるべきことである。

まずは、プロジェクトメンバーの意見をよく聴き、不満を引き出し、その不満を解消することである。

そのとき主催する側として、プロジェクトの主旨や目的の事前伝達が不十分だったことを謝るべきである。

この対応は次の会合までに個々に面談を行い、理解と納得を得ておくことが必要である。

また、上司である部長にもアプローチが必要である。

第一会合でのメンバーからの反発があった事実を伝え、再度部長からのメンバーへの指導をお願いする必要がある。

さらには部長自身がこのプロジェクトの本質が理解できていないのかもしれない。

もし部長クラスにこのプロジェクトへの不満や反対があれば、メンバーの協力を引き出すことは困難である。

部長の理解と納得は特に重要なことである。

後者は、このような反発を発生させないためには何をなすべきだったかである。

特に重要なことは第一会合が開始するまでの事前準備である。

この事例では、各部門の部長に対してチームリーダーに任命された主任が主旨や目的の説明と協力依頼をしている。

これでは影響力が弱い、やはり人事部長が行わなければならないだろう。

また、チームメンバーが選定された段階で、上原チームリーダーがメンバー一人ひとりに、主旨や目的の説明と協力依頼を行う必要があろう。

大切なことは、こちらから出かけていき、説明を行うという姿勢である。

チームリーダーの積極的な姿勢が感じられなければ、メンバーからの理解と納得は得られず、協力も期待できないのである。