1.問題の本質

この事例の問題の本質は、部下に対して将来ビジョンを考えさせていない、与えていないということである。

組織や担当業務の変更が頻繁に繰り返されるような環境では、将来に対する不安を抱くことは当然予測されることである。

昨今のようなリストラや組織の統廃合が頻発する世の中ではとくに不安を感じる人は多いだろう。

しかし、このような環境であればあるほど重要になってくるのが自己の将来ビジョンをしっかりと確立しておくことであろう。

自分の将来(これから10年先)をどのように設計していくかという「あるべき姿」を明確にするのである。

あるべき姿が明確になっていれば、どのような能力開発を実現していくべきかが鮮明に描けることになる。

もちろん、この事例のように組織人である限り、自分の希望している職種に付けないことも多い。

まだ、現在の仕事を通じて開発したい能力も沢山ある中での異動もしなければならないこともある。

これは組織全体を考えた場合、仕方がないことである。

しかし、自分にあるべき姿が明確になっていれば、どのような仕事についたとしても、そこで身に付けるべき能力とはなにか、ここで習得できる技術や技能とは何かが明確になってくるものである。

管理者は受身の姿勢で自分の将来を考えるのでなく、積極的に自分の将来を設計していける部下を育てなければならない責任がある。

2.対応策

管理者としてやるべきことは、本人が一体何をやりたいのか、将来どのようなことを目指しているのかを考えさせ、答えを出させることだろう。

次のようなステップで考えさせ、自分なりの解答を導き出させると良いだろう。

①これまでの自分を棚卸しさせる

これなでの自分は何をやってきたのか、その中で身に付けた能力はなにか、どのような資産を獲得してきたか、これまでにやり残したことは何かなどを考えさせる。

②10年後→5年後→3年後のあるべき姿を考えさせる

10年後の自分のあるべき姿を描かせてみる。

自分の将来ビジョンを具体的にイメージさせるのである。

これはすぐに描けるものではないかもしれない。

しかし、将来の自分を考えてみることが重要なのである。

10年後が描かれれば5年、3年とより身近なものにしていく。

③必要な能力は何かを考えさせる

上記のような将来ビジョンを実現するためにはどのような能力が必要かを考えさせる。

これがとくに重要である。

そして、現実の業務の中で何を身に付けなければならないかに、結びつけるのである。

いずれにしても、この事例のような将来を不安に感じ、やる気を無くしている者は、受け身で物事をとらえているのである。

これを自ら主体的に考えさせるように指導していくことがポイントであろう。