〔第26講 **解説** 〕派遣社員の活用に悩む

〔第26講 **解説** 〕派遣社員の活用に悩む

1.問題の本質

この事例の問題の本質は会社レベルの問題と現場レベルの問題とに分けて説明する。

まずは、会社レベルの問題は2つある。

その一つは、派遣社員についての導入教育がされていない問題である。

派遣社員の場合派遣社員のレベルや担当する業務により、かなりの能力の差があると考えられる。

したがって、専門教育を導入段階で実施する必要ないが、会社における行動基準などは、定期採用の新入社員教育と同じレベルで実施する必要がある。

もう一つ、会社レベルの問題として、仕事を教えてもすぐに辞めてしまう、という問題がある。

これは品質管理、安全管理、コスト管理の総合的な観点から検討する必要があると考える。

見かけの人件費は安くても、かなりコストをかけて育成し、すぐに辞めたのではコスト面からペイしないであろう。

教育に投資しなければコストは押さえられても、事故や品質トラブルを頻発させたのでは、これまた大問題である。

また、現場レベルにおいても教育が不十分であろう。

その職場における基本動作(安全、品質、報連相、その他職場のルールなど)については、会社で行う導入教育と重なる部分があったとしても、現場の責任として必要である。

ある部品加工会社では、現場作業で使用する工具(例えばドライバーやスパナ)の説明からしなければならない派遣社員もいた、ということであった。

2.対応策

1.会社レベルで実行すべきこと

会社レベルで実行すべきこととして、まずは、真に派遣社員の活用が経済的に効果があるか否か評価が必要であろう。

これは単年度ではなく、数年間の評価が必要である。

ただ、派遣社運の目的はコストだけでなく、生産変動への対応ということもある。

評価すべき項目を的確に抽出し、常に評価していくことが必要である。

当社における組織人としての行動基準の教育が必要である。

身分としては社員とは異なるが行動は社員と同じレベルで行動しなければならない、ということを教育するべきである。

これは人事教育部門が実施すべきことである。

2.現場レベルで実行すべきこと

現場レベルでの教育として必要なことは、職場における基本動作の教育である。

例えば、次のような教育が必要であろう。

①職場の基本ルール、②安全のルール、③指示の受け方と報告、④職場の仕事の概要、⑤その他仕事の進め方に関する事項、である。

これらは基本的にOff JTで実施すべき項目である。

さらに現場ではOJTが重要である。

OJTそのものについてはここではふれないが、OJTを実施するための指導者の育成が重要になる。

例えば、①仕事の教え方の技術、②指導計画の作成方法、③指導に必要なコミュニケーションの方法、④作業指導書の作成ポイント、⑤その他OJTに関する事項、などである。

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