1.問題の本質

このような事例は最近では企業合併が多いこともあり、頻繁に発生していると思われる。

つい最近の銀行のコンピュータネットワークシステムのトラブルも同じような問題が潜んでいると予測される。

この事例の問題の本質は、出身会社にこだわり、自分達のしくみや考え方を広げることに意識が集中し、全体最適化という視点が欠けていることにある。

確かに、これまでの慣れているやり方・進め方を踏襲することは楽だし、自分達が構築してきたしくみへの愛着もあるだろう。

理解できないことではないが、そこに顧客尊重の姿勢が欠如している。

自分達のことばかりを考え、顧客の視点を忘れているのである。

顧客をないがしろにした、自分達の面子にこだわる姿勢では問題解決は実現できないだろう。

この事例においても、自分の出身母体のしくみの利点のみを主張しあうという業務統合委員会の会合であった。

顧客にとってどのようなしくみが最適であるか、最も顧客満足を実現できるしくみや方法は何か、という観点から議論されていないのである。

このような業務統合を実現していくためには、トップ(組織の責任者という意味)の強いリーダーシップが必要である。

この事例の場合は営業部門の部長である今泉部長のリーダーシップが求められているのである。

しかし、委員会の責任者にはなっているが、調整役のみで、強いリーダーシップを発揮しているとは思えない。

2.対応策

このような状況を打開する方法について考えてみよう。

まず、基本的な考え方として、業務統合を実現する方法としては3つの方向が考えられる。

①業務をゼロベースで考え、白紙の状態から再構築する

②それぞれ3社の良いところを取り入れながら、組み合わせで構築する

③1社のやり方に全てをあわせ、一部見直しをかける

以上のような方向が考えられるが、それぞれ一長一短がある。

①の方法は最も理想的であるが、時間と費用がかかり過ぎる。

②の方法は全員の満足は得られそうだが、これも時間がかかるのと大変中途半端なしくみになる可能性がある。

③の方法はやや強引でメンバーの賛同が得られづらいが、短期間で費用も比較的かからない。

このケ事例の場合は③で実行すべきであろう。

そして、展開としては次のような手順で進める必要がある。

1.営業部長の基本方針を打ち出す(例えば、A社の仕組みに統一するという方針)

2.実際に移行の準備をする(帳票の準備、備品の準備、ファイルの整備など)

3.実際にやり方を変える(主体になったメンバーがOJTを実行する)

4.見直しをかける(顧客の視点に立った問題点、やりづらいところを指摘し改善する)