〔第3講 **解説** 〕報連相のできない部下
◯解説
1.問題の本質
この事例は報連相などの基本動作の指導方法に問題が潜んでいる。
報連相(基本動作全般)の指導とは、その重要性を解いたり、実施方法を解説する程度では身につくものではない。
具体的な実行場面を通じで、実践指導しなければならないものである。
また、報連相などの基本動作が実行できるか否かは、持って生まれた性格的なものである、という考え方は誤りである。
もちろん、このような行動は、家庭での「躾」の影響は大きいかもしれない。
しかし、そのような考え方は、マネジメント放棄ということにつながりかねない。
2.対応策
この事例での具体的な対応策は報連相の重要性ややり方をどのように指導すべきかがポイントとなる。
報連相の指導を行う方法としては、具体的な事例を活用しながら解説することが必要である。
報連相が大事であることについて知識として理解できている場合が多い。
しかし、組織全体の仕事の流れのなかで報連相がどのように位置付けられ、報連相の内容が上司の意思決定にどのように影響してくるものか、という視点を実感させることが重要である。
たとえば、部下が問題状況を上司に報告した場合で、もし、タイミング等が遅かった場面が指導チャンスである。
もし、報告が1日早い場合に実施可能な施策を説明する。
しかし、1日報告が遅れているために、対応施策は絞られてしまう、そのために問題解決はより難しくなる、ということを教えるのである。
報連相を徹底するための上司としての留意点についてポイントを指摘しておこう。
・部下から悪い報告があがってきても、イヤな顔をしないこと、イヤ顔やがっかりするような雰囲気は、 報連相を遅らせたり、実施しなくなることになる。
・これは報告する、これは報告が必要ないという区分は部下が勝手にしないようにすること、どこまでを報告するかという判断は、具体的に報告の事実があった場合に、このレベルについては自分で判断し、事後報告でよい、という指導する。
・事実と意見を分けて報告するよう指導すること、報告は結論から事実を報告する。
しかし、自分としての考えや意見も必要な場合もある。
その場合は、その区分が重要である。
・「どうしましょうか」と、ただ上司に意見を初めから求めてくるような報連相をさせない、必ず「自分はこのように対応したいのですが、いかがいたしましょうか」という報連相の指導を行う。