〔第6講 マネジメント塾〕突然の新規業務への対応
○ 中川マネージャーのこんなとき
中川マネージャーはBプロジェクトチームのリーダーである。
このプロジェクトは中川マネージャーの下に5人の部下がいる。
このプロジェクトは会社の中でもかなり特殊な業務を担当している。
プロジェクトという名称を使っているが、継続的な業務も抱えている。
ある時、部下である長谷川さんのところへ現在の負荷に対して、50%程度のウェイトを占める新規業務が舞いこんできた。
しかもこの業務は会社としても第一優先の課題であった。
この業務は急に実施が決まったもので、事前の対応がまったく取れなかった。
この業務はこの先3年間は継続する予定であり、長谷川さんに対しては、とりあえず新規業務にウェイトをかけて仕事を進めるように指示を出した。
3カ月が経過したころ、長谷川さんが担当している日常業務に納期遅れが目立つようになった。
中川マネージャーは長谷川さんから事情を聞くことにした。
長谷川さんによると「今は、ほぼ毎日残業をしています。
目一杯仕事をこなしているつもりですが、新規業務を推進するために外出が増え、職場を離れることが多くなりました。
また、業務量が1.5倍になったことも重なり、仕事に遅れが発生しています。
私としてはどうしようもない状況です。
」ということであった。
中川マネージャーはこのままの状況を放置しておくわけにはいかず、何らかの打開策を実行しなければならなかった。
まずは、長谷川さんの業務を減らすことを検討しなければならないと考えた。
しかし、長谷川さんの業務は専門知識や技術を必要とする仕事で、誰でもすぐに担当できるものはではなかった。
中川マネージャーの部下は、長谷川さん(37歳)を筆頭に、横田さん(32歳)、小林さん(30歳)、田端さん(25歳)、吉本さん(24歳)という構成であった。
横田さんと小林さん以外は多少仕事の余裕はあったが、能力的にみると技術習得に時間はかかるりそうだ。
しかし、本人がその気になれば何とか引き継げる仕事はあると判断した。
ただ、2人とも性格的には新しい業務を積極的に受け入れるタイプではなかった。
この2人の仕事の中には、比較的ルーチンな仕事も担当していた。
田端さんと吉本さんは、まだ、経験不足もあり、技術的に長谷川さんの業務を引き継ぐ能力には到達していなかった。
この状況を打開するための考え方と具体的な手順をどのように展開したらよいか中川マネージャーは考え込んでいた。
◯設問
この事例の問題の本質と解決策を検討してください。