〔Q17 徹底5S Q&A〕5S活動の予算
Q【質問】5S推進のために5S予算を明確化したいと考えています。
5S予算とはどのように設定すべきでしょうか。
A【解説】
●5S予算の考え方
5S活動を活性化させるために5S予算を設定することが必要になる。
しかし、5S活動に取り組む最初(1年目)から予算を多めに設定するのは適切ではない。
最初は必要最低限に絞った予算に限定すべきである。
理由は2つある。
一番目は、最初の1年目はお金を使うのでなく、知恵をつかうという考え方が大切だからである。
二番目の理由は、ある程度お金を使っていいという雰囲気になっていると、さまざまなモノを買ってほしいと要求が上がってくるようになる。
しかし、すべてのモノが購入できないのが現実である。
その時、モノを買ってくれなかったから5Sができない、という言い訳が出てくるものである。
言い訳を言わせないためにも最初は予算を最小限にすべきである。
●1年目に必要な予算とは
5S活動に取り組む1年目に最低必要な予算とは企業により異なるが、新たに購入しなければならないモノとしてテープワープロ、テープワープロ用テープ、ラインテープなど整頓の表示に使用する備品類である。
これらは準備しないと5Sの実行にかなり支障をきたすことになるだろう。
●最初は棚やキャビネットを購入しない
現場からは棚がほしいとか、キャビネットを購入してほしいなどの要求が上がってくる。
しかし、これらの要求にすぐに対応してはいけない。
5Sの整理の段階を徹底して実行すると、棚やキャビネットにかなりの余裕が出てくるものである。
大部分の購入要求は不要なものとなるものである。
仮に整理をしたけれどスペースが足りないと不満が出たならば、その箇所は整理が不十分と考えられる。
●金がないから知恵が出る
目的を達成するために必要となるお金がないなら知恵を活用するしかない。
人はその気になって本気で考えるとすばらしいアイデアが出るものである。
たとえば、筆者が見かけた事例として次のようなものがあった。
○棚のスペースを確保するために使用頻度から段階的に優先順位をつけ優先度の高いものだけに絞って置くようにした
○整頓で収納ケースが必要だったので試用済みのダンボールやポリ容器を工夫して使う
○古くなった棚を自分達で塗装して使用する。
これらはほんの一部であるが、知恵を使い、創意工夫をすると有効活用できるものがたくさんあるものである。
●2年目からは予算を設定する
5S活動を本気で取り組むと2年目くらいから本当に必要なものは何かが明確になってくる。
この段階から年度予算に5Sも組み込むことが必要になってくるのである。